目次

塾の立ち上げの前準備

25年前に「塾に行ったこともやったこともない」という状況でスタートしました。
そのため学習塾の始め方という本を買って読んで、まずは塾というものを勉強しました。

その話をすると多くの塾長が笑いましたが、私からすれば教材会社なるものがあるということが分かっただけでもありがたかったものです。多くの先生は、学生時代のバイトが高じて独立してますので、「当たり前」と思っていることが、当時の私には本当にありがたい情報でした。



さて個人塾でもビジネスですのでお金を最初に使います。(物件の取得や広告代など)

しかし必要以上に使う必要はありませんし、先にしっかりと計算していれば、負けの少ないビジネスでもあります。この記事は、1校舎(約60名程度)で、家族が暮らしていけるというレベルを考えて書いています。

市場調査ととりあえずの目標の設定

 

① 生徒がいるか、どんなニーズがあるか?

・生徒数は、ガッコムで調べることが出来ます。
・人口の1%がその年齢の平均人数なのでそれでざっくり計算可。
・回りの塾の様子を見ておき、ついでに価格も調べておきましょう。

当時の私どもの目標は、全中学生(私の最初の校舎の町には、1つしか中学校がない)の2割を取ることでした。中学生の通塾率を50%として、計算しました。
その生徒数が入る場所を借り、準備をしていきました。

月謝は、当時、地域No1の塾より2000円安くしました。
(実はこれは失敗。最終的に地域No1の塾と同じ月謝にして初めて同じ土俵に乗り、生徒数が大幅に増えました。)

ニーズに関しては、当時の「進学塾」は、学校の内容を無視して独自のテキストで「入試1本」でやってましたが、学校の成績を上げたいというニーズが多いことが分かり、当時では珍しく学校の教科書と準拠テキストで指導しました。
おかげで学校のベスト10の中で6、7名を占めることになり、3年後には、ほぼ決着がつきました。

(2021年現在、当時の地域大手は潰れ、その他の塾は撤退しました。人口が減っていることもありますが、組織塾としてやれるほどの人数が集まらないということです。今は目に見えない個人塾との戦いの真っ最中です。(^-^;;)
ともかく

・塾は箱もの商売。箱にあった戦い方をする。
・とにかく何かで1本立てる。
・顧客はサービスの良さを価格と見た目で判断する。

ことです。
よって別に箱が小さくても、戦略があれば大丈夫です。

箱が小さい場合、価格を引き上げることが簡単です。(人数が入らないから)
それなりの内容を求められますが、クセのある塾は、他のコモディティ化した塾と比べ息が長いようです。逆に個人塾でありながら全部をやろうとすると(科目や生徒層)あっという間に増え(最初のボーナス集客ですね。)あっという間に経営が悪化します。

ご自分とご家族の生活と考えるなら息の長いビジネスを構築していく方が良いです。

② 塾の成長パターンを知っておく

学習塾は、

・生徒10名
・生徒30名
・生徒60名

の時に壁が出てきます。

その次は、100名、300名、600名、1000名、2000名となり、それ以上は、塾長のモチベーション次第です。

速い先生であれば、2000名から5000名まで1年半くらいで行ったりします。

中には、0から生徒1000名まで3年程度で一気に突破した先生もいますが、これはある意味、天才。

多くの先生は、10年くらいで1000名という感じです。

ゆっくり着実に成長したいなら時間をかける方が良いかと思います。

一方で、生徒数300名~600名くらいで、今後の塾をどうするか考える先生も多く、私の周りは(私も含めて)塾に関しては、「成長を止める」、もしくは「縮小方向」で、他のことをするという先生も多くいます。
(その理由は、塾は労働集約型なので従業員が増えること。同時に従業員の給与も延々と増やしていかないといけないこと。一方で地方の少子化が激しいことなどからの決断でしょう。)

個人塾レベルであればどうにか出来るものばかりですが、組織塾になると、スタッフの解雇や閉校などの対策が必要になります。

とにかく立ち上げの際には、上記を先につぶしておくことです。

・まず最初の1校舎を確実なものにする。
 (生徒数、生徒層、平均月謝を決める。)
・塾の成長パターンを知って先に手を打っておく。(次回以降のページを参照のこと)
・考え方の軸をぶらさない。(1校舎で終わるのか、数校舎にするのか?最終的に生徒1万人とかまでいくのか?)

現実的に、多くの先生が生徒数を増やそうとして撤退していきます。
別に悪いことではありませんが、

・本気で生徒数を増やし、会社を大きくしたいと思っているのか?
・嫌な言い方ですが、楽して儲けたいのかは、

考えておく必要があります。
他人のための苦労も問題なく受け入れられる方は、会社(組織)を大きくすることに向いています。

③ 自分なりの塾の形をおぼろげながら設計する

この段階で、

・生徒数〇〇名で年商〇〇〇万円の塾
・扱う商品(学年・コース)

がおぼろげながら見えてきたと思います。年商は、大体、月謝の14か月分となります。
(夏期・冬期・春期を考慮して大体14か月で計算します。)

現実的には、途中からの入塾者も多くいますので、その辺りは差し引いて計算してください。
例えば年商1000万円くらいの塾(これは結構、簡単にいきますが)を考えた際、

・月謝1万円×生徒数70名×14か月=980万円
・月謝3.5万円×生徒数20名×14か月=980万円

どちらのパターンでも売り上げは同じです。後は、塾長のやりたい方向で決定すればよいだけです。塾長1名だけで指導する塾であれば、塾長の「時給」を考え、基本的には後者をお薦めしています。一方、バイトを使い、システムで増やしたい場合は、前者のパターンが良いと思います。
ともかくこのあたりは、センスと趣味の問題です。

ただし生徒数に応じて、箱は大きくなります。固定費が変わりますので、そこも考慮してください。広さが変わるということは、例えば80坪なら、あまり良い立地に出せないけど、10坪なら一等地に出せるということも出てきます。つまり場所の力も変わります。これらのことも総合的に判断する必要があります。これで大体、イメージ出来ましたでしょうか?

・どこで、誰に、いくらで、どんなサービスをしているか?
・自塾の顧客は、どんな人か?
・自分の仕事量や顧客とのかかわり方は?

これらがイメージ出来たら、次のステップに入ります。

・実際の物件探し
・見込み客の集客

です。