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個別指導塾が伸びた原因


今では、学習塾の約半数が個別指導塾です。
私の知り合いでも、個別指導塾を経営している塾長先生が多くいます。

以前から、集団と個別は、効果の観点から対立的に語られることが多いものです。
「個別は成績が伸びない!」「集団で鍛えられなければ、学力は上がらない」というような話です。

メーカーに勤める私の友人は、子どもの成績が上がらないので、個別塾から集団へと変えたと話してました。

彼の話を聞くうちに、なぜ集団なのか?なぜ個別なのか?ということが透けて見えてきました。

個別指導塾が伸びた背景には、「共稼ぎ夫婦が増えた」ことがあります。
ちょうど、奥さんのパートに出る人の割合が、専業主婦を越えた時、まさに個別指導塾の伸びと一致しています。

つまり、個別指導塾は、「塾に行かせたくても行かせられない。」という親側の都合に応えたサービスとして伸びてきたのです。

それまで塾の中心だった集団塾は、「オレたちが成績を伸ばしてやるから、オレたちの都合に合わせろ!」というものだったのに対し、時間も指導数も、「お客さんに合わせますよ!」という、ある意味、教育業界に新しい観点からのサービスを取り入れたことがヒットした最大の要因です。

時代の要請に応えた個別指導塾にとって、更にラッキーだったのは、「ゆとり教育」のスタートでした。
これにより、(一部の難関中・高受験を除き)多くの公立中・高校生を相手にする塾からすれと、大学生でも十分指導出来るまで「内容が薄くなった」ので、個別指導塾からすると、願ったり叶ったりの状況となっていきます。

そのため、更にサービスの方向性は、「教育」ではなく「利便性」に向き、その後、「ビジュアル」や「イメージ」へと変化していきました。と同時に、差別化出来なくなった塾から、「価格」を下げていき、現在では、個別指導塾と集団塾との価格差は、あまりなくなっています。

個別指導塾の衰退?

「ゆとり教育」が終わり、また共稼ぎが当たり前となった時代には、集団塾も新しいサービスを実施します。
所謂、「送迎サービス」です。このことで、個別指導塾の利便性が排除されていきます。同時に、ゆとり教育が廃止され指導内容が濃くなってきたのと同時に、大学生というだけでは通用しなくなっていきます。そのため、優秀な学生バイトを集めるサイトなどが出てきたのもこの時期です。

個別指導塾は、安価な方向に走り、バイトの確保が難しくなり、時給も実質上がっていく中で、経営的には苦しくなります。また「成績が上がる」という、塾の本質を問われる時代となり、「生徒間の競争」という(ある意味、学習塾では最大ともいえる)武器があまり使えないため、いっそう厳しい状況へと突入していきました。

そのような中で、「システムとして成績を上げる」「生徒層を絞った上で、(通知簿で言えば2、3程度)その子たちだけを上げる」という形が出てきます。大学生に対する負担を軽減するために、指導フローを統一(授業の手続きなどをマニュアル化)し、指導内容を全て自社テキストに突っ込んだものです。

今では、個別指導塾では、スタンダードなテキストになっていますし、指導方法もある意味、スタンダードとなっていきます。

しかし更に時代が進み、学力の定義が変わり、アベノミクスの影響で、都市部を中心に好景気にわくと「更にバイトの確保が難しく」なっていきます。ブラックバイトの問題も勃発し、今まで、何となく講師を雇っていた塾でも、労働基準法に基づいて、キチンとバイトを雇うということになり、「経費と手間」を考えると、価格の安さもあって、一気に経営が悪化していきました。生徒はいるが、まったく自社にお金がストックできない。まさに、何のために働いているか分からない、それなのに外部(国、自治体、講師バイトなど)からの締め付けは強くなるという、がんじがらめの状況。・・これが、今の状況です。

自立塾の復活

教えない塾というのは、数十年前からありましたが、ここに来て、この自立型が脚光を浴びているのは、このような状況化で塾をやっていくための条件、すなわち

1.固定費がかからない。(バイトがいないか、少ない。)
2.成績が上がる。
3.生徒・保護者の通塾に都合がつく

ということをクリアした形態だからです。今では、バイトに関しては、人材という言い方も出来るでしょうが、コストと考える方が無難です。また、バイト諸君も、学習塾で何か新しいキャリアが形成できるわけではないので、他のバイトへと流れていますし、大学によっては、「学習塾のバイトは、お薦めしない!」とハッキリと言っているところもあります。

もはや学生からすれば、塾講師は、割りの良いバイトでなくなっています。

そのため、個別指導で生き残りをかけている塾は、高いコストをかけて、バイト採用時から厳しい面談や、教育を行い、差別化を図ろうとしています。しかし保護者や生徒は、(少なくとも個別指導塾を選ぶ保護者、生徒の90%は、)価格で塾を見ますので、その良さ(塾の特徴や通塾するメリット)が誰が見てもすぐに分かり、かつ顧客が欲しいものでなければ、意味はありません。

一方、集団塾は、社員を取り、ここに来て、攻勢をかけているところもあります。

集団塾ですと、平均生徒40名~50名を1人で回します。の管理そのものが、コストでありリスクとなる今、多いバイトよりも、少ない社員で・・と考えるのは至極当たり前の話でしょう。

しかし、本来、母集団として生徒が減少している今、最初から「多くの生徒を取らない」という戦略のもと、成績の上がりやすい子を、成績が上がりやすい方法で指導する、自立型へと移行する塾もあります。

私が知る限り、個人塾の多くは、既にこの形態へと(自然と)移行しています。当然、教室長や塾長の手腕が問われますので、横展開は、厳しいでしょう。そのため、生徒の塾での動きをフロー化し、それを管理するという形の自立型も出てきています。

しかしこの場合、フローを全員に当てはめることで、生徒の自由さがなくなること、管理が逆に大変になることということで、今後、広がるかどうかは、まだ未知数です。

一方、個人塾は、自立型への移行は、割りとスムーズに行けています。

その背景には、基本、塾長と気の合うバイト数名で経営していること、高校生対象の映像などが、安価に多種出てきたことなどが要因です。固定費を抑えることで、リスクも少なく、安定した気分でやれていることが一番のメリットです。

一方、大手塾は、生き残り策として、FCへの移行、学習塾への物販などをスタートしています。

しかし今では、メーカーや異業種からも参入が相次いでいます。映像1つ取っても、今まで幼児・小学生・中学生・高校生となんとなく棲み分けが出来ていたものを壊すように、その壁を越えての参入が相次いでいます(学研、ベネッセなど)ので、中途半端な開発をしているところは、そのコスト回収も厳しいと見ています。

矢野経済研究所から教育産業市場の白書が発表されました。
教育産業市場に関する調査2016

簡単に言えば、塾業界は堅調。その理由は

1.大手が囲い込みをしているから。
2.映像授業を使っているから。
3.幼児・習い事が堅調だから。

だそうです。つまり、直接、お客さんからお金をもらえなくなったので、他塾からもらっている会社が、生き残ってるということです。また衰退したのが通信教育ですが、この通信教育や、学研などの会社は、今、映像に力を入れていますので、上記のような大手塾もどうなるかは、楽しみです。現在、仁義なき?戦いをしていると言ってもいいでしょう。(^-^;;

しかし個人塾からすれば、これは大きなチャンスです。

そもそも、その地域の生徒の囲い込みというのは、まさに個人塾のお家芸。自立型という形は、横展開が厳しいだけに差別化の99%は塾長が握ることになり、そこに戦いに勝つヒントと理由が落ちている・・。これらが、私がチャンスだという理由です。

今後、自立型に関しては、セミナーなども増えていくでしょう。
(個人的には、業界のセミナーよりも、地域の商工会議所などに行く方が地域にあった戦略が出来ると思うのですけど。)

多くは、管理のツール販売だと思いますが、そもそも生徒数が少ない状況での自立であれば、そのような管理ツールは必要ありません。そもそも管理で生徒は増えません。自立型=塾長の思うようにやれる。と考えると、どんどん行動することが1番です。

安価な映像、安価な幼児関連のFC等が出てきている今、ともかく地域の生徒・子供を1ストップで伸ばす。
生まれた時から指導し(^-^;中学生になるころには、既に自立で学習できるように訓練しておくと、他塾に行くことはありません。
(ただし、上記は、かなりパワーが必要になるのと、よく言われる習い事は、衰退傾向を今後示しますので、あまり推奨はしませんが)

現在、私は、ある校舎(別会社を作って)にて独自の自立型を実験しています。

管理者やバイトがいなくても成績が上がる、子供たちが満足するという自立というよりも、
セルフサービス型の塾です。もう少しで、教室長が誰でも出来るようなフローが出来そうです。
(実際、私がそこにいない・・というか管理者がいなくても問題ないくらいに回ってはいる。)
もちろん、一番大切なことは、他の形態の塾よりも成績を上げてることですが。

変な話、成績にトコトンこだわると自立型になっていったってのが事実ではありますが、自立が、経営者視点からの便利さだけで、ちやほやされていますが、今後、生徒・保護者視点からも価値が認められるかどうか・・・ここが分かれ目です。