最近は、高大接続問題への問い合わせが多くなっています。
セミナーなども5年ぶりにやらされる始末。
私のセミナーでは、なるべく本質に迫りたいので、表面的な「形式」や「内容」よりも
過去の議論の履歴から、これから日本の教育の進む方向性を見極めていくという話をしてます。

限られた誌面で簡単に言えば、高大接続問題は、「教育改革」であるということです。
結果、小学校から大学まで全てに影響しますし、何よりも学習塾からすれば、今後の「役割」が
大きく変わる可能性があります。

今回の改革は、日本の教育を世界に認めさせるその一環であるというのが最大のポイントです。
このことにより、今まで東大を頂点に偏差値でのランキングにて学歴ピラミッドを作っていたものが
ガラガラと壊れていきます。本当のトップ層は、海外を目指す可能性が高くなるわけです。

これは、学部においても同じです。医学部は、今でもかなり偏差値が高いのですが、新しい評価システムですと、かなり低くなります。これは「日本でしか通用しないから」ということでしょうが、もしTPPなどで海外での学位を認めあうようになると、学費の安い海外に、これまた人が流れます。日本独自の資格が世界共通になってしまうと、教育ピラミッドが大きく崩れるわけです。

学習塾は、いくらキレイごとを言っても、子供のキャリア(中学入試、高校入試、大学入試)を直接的、間接的に関与するわけですので、他人事ではありません。進学先が海外ということを念頭に置いた指導が必要になる時代がすぐそこまで来ています。

また偏差値の影響が少なくなり、各大学は、教育の「要素」と、学生の「進路」によってランキングが決定されることになります。偏差値というのは、人気度のようなもので、(私の記憶が正しいなら一番最初に塾業界に導入したのは日能研かと(日進の間違いでした。中土井先生ありがとうございました。))結局、これによって学校をランキングすることが1960年代から急速に広まったのですが、海外では、このような指標はあまり使われません。(偏差値の生みの親のお話しは、ついでながらにここに置いておきます。)http://hosted.jalt.org/test/PDF/Kuwata-j.pdf

塾からすれば偏差値がない中で、何を指標にして生徒を指導するのか?しかも国内だけでなく海外にも進学先の視点を広げないといけないという中、本来の仕事である「子どものキャリア」育成が今まで以上に問われるわけです。

このような時代になるには、もちろんまだまだ時間がかかりますが、既に東京の保護者などでは海外進学が当たり前のように検討されています。(この手の相談も東京からは多いです。)

教えるということは、塾の機能の1つであり、目的ではありません。この高大接続問題で大きく変わるのは、民間教育も含め、この国の教育の在り方が変わる問題であるという認識をしておくことが大切です。