目次
1.学習塾業界について
本記事は2021年1月12日に一部加筆・修正しました。
学習塾業界は、非常に不思議な業界です。
他業種と比べ、社長(塾長)どうしの付き合いが非常に多い業界ですし、コンサルタントも
非常に多い業界です。教育業界として見ると伸びしろもあり、パイも大きいのですが、
塾業界と限定すると、それほどの規模はありません。
そこに非常に多くの塾(コンビニよりも多い)や、コンサルタントがひしめきあっている
のが塾業界です。
また、この業界は、勉強好きな人の多い業界です。
本当に多くの塾長先生が色々と経営に関しての勉強をされています。
中には、塾経営をしながらコンサルタントを兼務している先生もいます。
他業種であれば、同業の経営者がコンサルすることはあまりなく、どちらかと言えば師匠と
弟子のような関係です。この状況は、塾業界独特の特徴であり、また業界そのものの脆弱さ
の1つでもあります。
1つの価値観に囚われた人がそのまま大してうまくいかない(いっても時代が違う)ような
ことを広げているわけです。すると、教育を「ビジネス」として考える異業種からの参入に
太刀打出来ないというのが現状です。
2021年現在、異業種から塾業界に入ってくるという話は聞いてませんが、様々なIT関係の会社が塾をカモにするようなシステムをどんどん開発してます。考え方は昔からあるものですので、ほぼ無意味な商品ばかりですが、簡単に多くの塾が引っかかってますね。
2.経営について
(私が知る限り)経営は、「クセ」です。
どれだけ勉強しようが、時間と共に新しく学んだ高揚感が消えれば、結局は、自分のクセで
経営していることがほとんどです。
勉強することは、知識のためでも、知恵のためでもなく、まさに自身の血液を入れ替えるのだ
という気概で行わないと、まったくもって新しいクセは、身に付きません。
そのため同じことを何度も繰り返し「聞く、見る、目の当たりにする」ということが大切です。
学習塾は、1店舗1店舗を考えると大手も個人塾も、それほどやっている内容は変わりません。
しかし経営に関して言えば、まったくの別物です。
大手塾は、会社です。(一方、個人塾はそのまま個人事業主の場合があります。)
ただし異業種からの参入組は、塾業界大手の規模以上です。
しかも組織としても洗練されています。扱う新しい商品が「教育」というだけです。
あくまでも1商品として扱うでしょうし、思い入れも強くない分、シビアに勝てると
思って入ってきます。彼らの存在は、現在の業界に影響を与えることは確実です。
3.個人塾に関しての経営の方針
経営に関しては、最初は、他の塾長やコンサルタントから学ぶことも良いと思いますが、
最終的には、自分で判断をしていかなくてはなりません。
同じ商品を入れても、顧客の反応がまったく違うということも、ごくごく当たり前の世界です。
勝つには、(もしくは、負けないためには)自分なりの思考の軸を持って、深く世間を観察し、
自分なりの手を打つことです。
そのためにまず、先にゴールを決めるという方法があります。
今までの塾組織の成長を見ていると一定の法則のようなものがあります。
あくまでも参考程度にして頂きたいのですが、以下、その法則のようなものを紹介しておきます。
大きくなった塾を調べると1つのポイントがあります。
それが生徒数2000名です。
塾を大きくしたい人は、これを最初の目標とすることです。
大きくなった塾は、2000名までに多くの苦労をしてますし、ここを抜けた瞬間から、
一気に大きくなっています。
塾を大きくしたいならば、2000名まで、どうにかして持っていくことが、第一関門です。
(どうやって2000名にしたのか?というのは、塾によって異なります。共通してるのは
潮目時に、勝負して勝ってるということくらいです。)
一方、学習塾を自分のビジネスと考えている人は、(つまり家業として考えている人)
固定費をかけないこと、そして得意技でのみ勝負するということです。
高校生が流行っているから、高校部だ!、幼児がおいしいらしい・・よし!幼児だ!
と飛びつく前に、本当にそれをして大丈夫なのか?と考えて手を打つことです。
典型的な失敗例は、自分の「時給」を考えず、時間と空間が余っているからと、
色々なコースや商品を個人塾に導入してしまうことです。
ロイヤリティという固定費もバカになりません。しかも、それらのコースでどれだけの利益を
上げているか?と調査をしてみると、各コースの利益は、微々たるもの、下手すれば赤字で
他会社にお金だけ払っているということが多いのです。
このような塾は、一度、自分の得意分野だけに絞り込むことです。
学年でも指導教科でもかまいせん。まずは、絞り込み、それでバツグンの収益が
上げれるようにしてから次の手を考えればいいのです。
負けない経営という考え方は、非常に大切です。ある漫画家が言っていた「勇敢で死ぬ人は
多かったが、臆病者で死んだヤツはいない。」というのは、傾聴するに値する言葉でしょう。
4.何のために経営するのか?
経営という言葉の示すものは、非常にあいまいです。
また命をかけてやりたいことをするのが経営という言い方もありますが、
それらを言う経営者に限って年齢を重ねると「お金や経営以外」に大切なものがあったなどと言います。
もちろん、人間としての支配欲や名誉欲(悪い意味ではなく)などから大きくなっていく
会社もあるでしょう。光と影があるように、悪いことだけでなく、大きな塾や会社は、
世間に対して多大な貢献もしているということは、頭に入れておくべきです。
様々なことを考慮して、見栄や、嫉妬などを出来るだけ排除し、
どのような規模で
どのようなサービスを
誰に提供するか?
そして、自分自身、家族、友人などとは、どのような生活をしたいのか?
と考えていくと何となく方向性は決まります。
(理想の1日を考えるという言い方もあります。)
経営もしょせん、自分のためであり、その大前提として世間に役立つものでないと
生き残れないという当たり前のことを認識しておくと、軸もぶれず、結果として息の長い塾
になります。
軸がぶれそうになっても、ずっと同じことを考えていると、(初心忘るべからず!)
表面のざわめきはあるでしょうが、すっきりと(苦労はありますが)経営していけるはずです。
この記事は、これから独立したいという方に向けて書いています。
ビジネスには、ある種の「麻薬」のようなものがあり、気がつくとのめり込み、自分の思った方向とは違う方向に進むことがあります。
そのために、「何のために塾をするのか?」と考え、生活のためであれば、それほど大きくする必要はないでしょうし、どうしても
この地域の教育を支えるという高尚な気持ちであれば、どんどん大きくしなければなりません。これは、正直「趣味」の問題です。
塾が大きいから偉いわけでもありませんし、小さいからダメという話でもありません。
来ている生徒が1番良い塾だと思ってくれれば、それが一番良い塾です。
またある先生が言ってましたが「大きくなると、仕事の95%は金策になり、本来やりたい仕事ではなくなった」という話も頭の片隅には置いといて下さい。
自分とその周りの人がハッピーになるために塾を経営するわけです。大手塾にも、もう従業員を解放してあげれば?と思うような塾もあります。(その場合は、従業員さんの独立に手を貸しますが。(^-^;;)