2021年1月7日に一部加筆。修正しました。
目次
学習塾ビジネスとは?
学習塾のビジネスモデルとは、
ユーザー(生徒)を集めて、指導し満足してもらって、
真の顧客(保護者)にも満足してもらい、
月謝を頂く
という非常にシンプルなものです。これは、幼児教室から、大学受験の塾まで変わることはありません。
そのため、どの塾でも、
1.生徒集め
2.生徒満足を高める
3.真の顧客である保護者の満足を高める
という3つの行動が命綱となります。
生徒集めで言えば、
1.新聞折り込みチラシ、新聞広告、タウン情報誌など紙媒体
2.Web,メルマガ、YouTubeなどのネット媒体
3.TV,ラジオなどのマスメディア
4.DM、個別訪問
5.口コミ
6.イベント
上記のものを色々と継続的に行動していくことが必要です。
また生徒満足度を高めるためには、
1.メイン商品?で生徒の欲しいものを提供(分かりやすい授業、テスト関連や合格判定など)
2.サブとして生徒が欲しいと思う物(空間、夜食、イベント、その他)
これらを提供する必要があります。
一方、保護者満足度を高めるためには、
1.時間、距離などの障害の撤去
2.月謝の支払い方法
3.面談
4.情報提供
などが考えられます。
顧客は絞る方がいいのか?
考え方は2つあり、基本、売れるものは「丸い」ものですので、クセの強いものは、数は出ません。
一方、大手と勝負を避けるのであれば、絞る方が最初はいいでしょう。
そもそも学習塾の場合、差別化が非常に難しい業種です。
そのため、「オレが指導している。」という1点を差別化の理由にしている塾も多々あります。
もちろん、これはこれでいいのですが(塾長の属人的な情報(学歴等、経歴等)が優秀な場合は特に)
どちらにしても、早晩しんどくなるのは目に見えています。
また絞るとしても、これ以上絞ると、そもそも子供たちがいなくなる。(母集団そのものが少ない)
このような例もあります。私の本部のある町では、全中学生が400名程度です。(市内全部での中学生数です)
このような地区で塾を経営しています。
すると、単純に成績で絞ることは非常に厳しい状況ではあります。(現実は、成績で絞っている教室もある。)
すると成績以外で絞ることを考える必要が出てきます。
1.月謝で絞る。(基本、地域の塾より高め)
2.時期で絞る。(この時期でないと入塾不可など)
3.学年で絞る。(高校生だけ、小学生未満だけなど)
3.に関しては、母集団が少ないので、厳しい状況であれば、基本1.のパターンとなります。
(学年は、幼児~高校生と広げながらも)
ただし、一般論として幼児と高校生は机の大きさも、イスの高さも違いますし、教室の作りや雰囲気も異なります。
そのため、この手のタイプの塾で集めているところは、塾の空間を贅沢に使い、キレイなところが多いです。
顧客を絞ると、そこだけに集中出来るという強みがあります。
また月謝で絞っても、クレームに関して言うと、月謝の高い塾の方がクレームが少ないのが現状です。
(あるデータでは、8000円以下が一番クレームが多く、2万円を超えると、価格に関係なくほぼ一定割合だそうです。)
もちろん、学年を絞ると、その学年にあった教室を作れますし、時間割から指導法から決まります。
当然ながら、同じことを長くするのと、色々な商品を頻繁に手をかえ、品を替え扱うのでは、経験値も変わります。
会員制ビジネスの崩壊
そもそも塾は、会員制ビジネスの典型でした。
しかし、最近は、安い塾や無料の塾が多くなり、フロー型ビジネスに移行しつつあります。
しかし、フロー型ビジネスの場合、1回の取引額が高いということがポイントになりますが、
それが安いとビジネスモデルそのものがおかしくなります。
都市部では、無料体験の期間が長いために1年間無料で塾に行くことも可能と聞いています。
規模の経済を行いたい大手は無料ででも生徒を集めます。
上場していれば、株価の問題から、そのような戦略も可ですが、中堅塾だと厳しい状況になります。
すると次に、顧客を変え、生徒ではなく他塾を顧客とする塾や会社が出てきました。
1.自塾のブランド等をFCとして他塾に売る。
2.速読などの能力開発や、そろばんなどの習い事を他塾に売る。
3.授業映像や、生徒管理システムなどを他塾に売る。
顧客は各塾ですので、顧客塾の売り上げに貢献する必要があります。
しかし、一度、その塾の生徒でコースを取ってしまえば、(生徒数が少なくても)
コースをやめないということもあり、結果として月々の金額が2~3万円でも、
数年間は導入してくれることになり、しかも多くは、それほどの労力がいらないため
(映像を作り替えるなどの労力は出てくる場合はありますが)安定したビジネスとなります。
今は、この流れを受けて中小塾も同じように様々な商品を開発しています。
これは、ある意味、今までの塾ビジネスだけでは、うまくいかなくなった証拠とも言えますが・・。
新しい顧客の創造
話を戻して、今までの塾ビジネスの延長で考えるべき問題の1つは、今までお客に
ならなかった層をお客に出来ないか?ということでしょう。
典型的な層としては、経済弱者層がいます。本来、勉強をしたいが、家庭の問題、
環境の問題から塾に来れなかった生徒たちです。
しかし、これは今、多くの自治体が補助金を出し、このような環境にいる生徒でも
塾に行けるようにしています。また塾によっては、自治体と組み、一手にそれを
引き受けている塾もあります。
(多くは、億を超えるビッグビジネスになったりしますね。)
また同じ助成金でも、社会保険を使った学童系の塾も増えてきています。
これなども、今まで受け皿がなかった層を、受け入れる仕組みを作るために、
うまく助成金を使い、一部の地区では非常に盛り上がりを見せています。
ただし、上記のようなものは、多くは6年以内で終了しますので、
それまでに次の手を考えておく必要があります。
(助成金の見直しが3年単位。ほぼ2回で半額以下になったりします。)
一方、海外に目をやり、海外で塾を経営する塾も多くなりました。
ほとんどは、まだうまくいってませんが、今後人口の増える東南アジアを中心に攻めています。
公文のように戦略的に商品を考え、勝つべくして勝っていくという戦略が必要になる
でしょうが、日本型の教育を他国の子供たちへと大きく顧客を変えてきた例の1つです。
一方、保護者を直接のユーザーにする塾も増えています。保護者への指導です。
日本語教室も併設しており、地元に住む外国人の方(めちゃ狭い層ですが)を
顧客に捉えてる例もあります。
そもそも教育に1番お金を使うのは、30代~40代の独身男性というデータがあるくらいで、
結局、「儲かる」など具体的なメリットがあれば、今の層から一歩はみ出た塾も存在しうる
ことになります。