生徒数と授業内容について

塾には、10人、30人、60人、100人と壁があると話をしましたが
その壁の原因になる理由の1つが、指導方法です。

私の場合、最初の半年間は、中3生2名のみでした。
まだ覚えていますが、毎週水曜、土曜の2日だけ授業。

たった2人ですので、当然、細かく指導が出来ます。
しかも当時は、日常生活で話をすることもなく(相手がいない)生徒としか話が出来ない状況でしたので、まぁ~、ガンガン話をして指導していました。

その生徒たちが卒業し、翌年(4月)には、3名だった生徒が28名に一気に膨れ上がったわけですが、ここで違和感を感じたのです。

・今までのように個人に合わせた授業が出来ない。
・全員を同じように相手するということが難しくなる。

つまり授業と言いながら、無意識に個別での指導をしてわけです。しかし、いよいよ「授業」をしなければ回らないレベルに来てしまったわけです。

ここでは生徒全体を動かすことが大事になってきます。

以前、カリスマ講師なる方々の授業を拝見したことがありますが、彼らの授業を分析すると圧倒的な知識とかがあるわけではなく、理解させるための比喩力に長けてるわけでもありませんでした。

ただし全体をうまくコントロールする術に長けているわけです。

20数年前は、300名を集めた授業など、ままありましたので、その人数をコントロールするということは、大したものではありますね。ただし今は映像になってしまったので、リアルと比べて熱量も異なりますから以前のようなカリスマ講師は少なくなっているでしょう。

つまりこの段階で、「教える」という行為に対してのスキルが増えていくわけです。

またもう1つの問題は、自己のメンタルブロックです。

個人塾の先生に多いのは、「小さいことは、良いことだ」という考え方です。

少人数で見ているので質が高いという話ですね。

しかし2名だったものが、1度に14名とか見るわけです。
当然、効果は2名のときと違うと本人は思ってしまいますから、葛藤が生まれるわけです。

一度に14名の一斉授業やってしまうと、他塾の授業と何が違うの?ということです。

私自身は、塾に行ったことがない人間でしたので、大手塾を退職された先生に自分の授業をみてもらったりもしましたが、何はともあれ、大手というのは授業もスゴいんだろうなとおぼろげながら考えていたわけです。(幻想に近いものでしたけど・・)
同時に来る生徒の成績の差も広がっていきました。偏差値で20も違えば、当然、指導の内容が変わるわけですが、一斉授業なので一緒にやるしかありません。しかもお金を払って来てくれているので、学校以上の価値が必要です。

生徒数と校舎と指導法を一体で考える。

まずこのあたりから大きく考え方は2つに分かれます。

・自分にあった生徒だけを取る
・生徒の成績、能力に合わせたクラス編成をする

後者は大手が採用しているものです。個人塾、特に塾長だけで回しているとなると前者になるでしょう。つまり個人塾は、人数が少ないからこそ、勝ちやすきに勝つ形を取らなければなりません。

さて人数が増えるともう1つ問題になるのは、雑用です。

これが一気にきます。仕事は基本、雑用の集まりなので仕方ないのですが、締め切りがありますし、一方で、授業準備も人数分になるのでしんどくなります。

しかし、ここで手を抜くと一気に転げ落ちます。生徒・保護者はしっかり見ているものです。

30名の壁というのは、まさにこのメンタルブロックの問題と、同時に今までのゆるい?事務や雑用を超えての作業量などの問題で発生していきます。

また、その人数を集めていると他塾などにも認知されることになり(もちろん見込み客にも認知されますが)様々な問題が出てきやすいということもあります。

これらの問題の根本は、塾の設計です。

何となくやっていて、「今やってることがベスト」と考えていると環境が変わった際に対応出来ませんし、進歩もないでしょう。

「はじめの一歩をふみ出そう」という有名な本がありますが、これにIBMの話があり、なぜIBMが大きくなったか?と聞かれて、「私は、お客が1人だった時から大企業のように動いていた。」という話があります。

組織の大きさによって効率が違うのは当然ですし、中小が大企業のような真似をしても仕方のないことですが、一方で、製品の質や職員の動きや服装などは、最初から大企業のレベルで追及するのは当然と言えば、当然です。

そういう意味では、1校舎あたりの人数(正確に言えば、一度に授業に入れる人数)を考えて、その上で授業を設計し、それに合わせて最初の1人から、そうしておくということが大事です。

その点、個別指導は非常に広がりを持つことが出来ました。

生徒が何名になっても、その分、先生を入れれば良いだけです。
雑務は基本、社員がしますので、管理を分離出来るメリットもあります。
また考え方は、1校舎でというよりも、坪あたりの売り上げを計算しやすいため、計算づくでの展開が可能でした。

もちろん背景には、お母さん方々の社会進出があり、一斉授業のように塾の都合で時間を決められても行けないということもありますが。

需要と供給も十分にある時代には、個別指導の形は非常に理にかなっていました。当時の予想は、この記事に書いてます。

どうしても個人塾の先生は目の前の生徒に集中します。

そのため、サービス過剰になってしまい、生徒が増えると同時にサービスが劣化して
いくように生徒や保護者から取られてしまいがちです。

まずは自分の授業(特に理想とする授業)は、こうだと設計し、それを最初からやる。

で、現場で新しい発見や気付きがあれば修正していくという形にしておかなければ、最終的に、
気が付けば「小さくなっている」か、もしくは教育そのものを横において塾展開だけに興味を示すことになりかねません。