http://benesse.jp/news/kyouiku/trend/20130112170011.html
今、一部の自治体などで土曜授業を認める動きが出てきている。保護者の間にも土曜授業への賛成派が広がっているが、実際に実施しようとなると、様々な課題があるようだ。土曜授業の問題を、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が分析、解説する。
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横浜市教育委員会が行った調査(2011年1月実施)では、土曜日に授業を「実施したほうがよい」と回答した保護者が約69.6%を占めています。さらに回数を尋ねると「月2回以上」が45.3%と半数弱という結果です。ところが同じ質問を教員にしたところ、「実施しないほうがよい」が70.5%に上りました。また実施したほうがよいという回答した教員でも「月2回以上」とした割合は、10人に1人に過ぎません。
では、なぜ教員は、土曜授業に否定的なのでしょうか。土曜授業を実施しないほうがよい理由を複数回答で尋ねたところ、「子どもや教員にとって負担になるから」が66.0%を占めました。保護者でこれを挙げたのは30.4%にとどまっていますから、「子ども」より「教員」自身の負担が大きいということなのでしょう。
ただし「負担」ということに関しては、注目される結果があります。土曜授業を実施したほうがよいと回答した教員に、その理由を聞いたところ、「平日の6校時目を土曜日に振り分け、子どもや教員の平日の負担を減らせるから」が85.5%に上っています。
新しい学習指導要領によって、授業時間数は2009(平成21)年度から徐々に増やされています。数字上では1~2時間程度の増加ですが、全部の授業で「考える力」をはぐくむなどの改善を図り、そのうえで時間数も増えるのですから、毎日の授業の準備にかかる負担は、見た目以上に大変なのです。
各自治体で土曜授業を検討・実施しているのは、新指導要領で授業時間数が増やされるなかであっても、平日に増える負担を何とかしたい、という考えからです。しかし、現実にはなかなか簡単にできない事情があるのは、先に見た通りです。夏休みや冬休みをさらに削るのか、それとも無理をしてでも土曜授業をするのか……。自治体や学校の悩みは、まだまだ続きそうです。